苦しみの中にいる人は

苦しみの中にいる人は
往々にして閉じられた世界の中にいる。

そして、その閉じられた世界から出ること以外、
その苦しみから解放される事は無い。

しかし、その閉じられた世界はある意味では
安全な基地でもあるわけだ 。

安全な基地に居続けることで、
苦しみはあるが
それ以上に大きく傷つく事は無い。

しかし、何も解決はしないし、
その状況は何も変わる事は無い。

だから扉を開けて
未知の世界へと足を踏み出すしか
解決法は見つからない。

アートは、外への道を
常に開いてくれるものである。

開かれた世界へと
連れ出してくれる道具である 。

  アートを使うことで、場合によっては、
  気がつけば外へ出れていた、
  そんなことができたりもする。

  それは、まさにマジックである。

しかし最初は、
安全な基地の中から行う必要がある。

いきなり、外へ引っ張り出すことはできない。

安全な場所で行いながら、
だんだんとそれを開かれた世界へと広げていく。

しかし開かれた世界へ連れ出そうとすると、
多くの場合は抵抗が起こってくる。

伴走者は
そこを超えれるかどうかの
重要な瞬間を掴む必要がある。

  その絶妙なタイミングは
  感じ取る以外にないもので、
  その感じ取る力を磨いていくことが
  知識を取り込むより、ずっと重要だ。


抵抗の瞬間、
もちろんやめてしまう場合もある。
それは、恐ろしい体験が
また襲ってくる危険を感じるからだ。

ときには抵抗し、
怒りさえ、ぶつけられる。

怒りの攻撃を浴びせられる場合は、 
淡々とその怒りの攻撃を
ひとしきり受けて、落ち着いたら
もう一度試みる。

安全である、ということを
伝える必要もあるが、
それは、言葉ではなく
伴走者自身のエネルギーで
伝えていく必要がある。

ひたすら待つこともある。
開かれた世界への信頼は
言葉ではなく、
伴走者の持つエネrギーでしか
伝えられない。

しかし、無理な場合もある。

その場合は、もうそこを立ち去るしかない。

出るか出ないかは、
最後は本人の選択でもある。

もしかしたら私でない他の誰かが、
その場から連れ出してくれるのかもしれない。


そんな期待も残しながら、
その場を去るしかない。

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この記事を書いた人

飛南 吏玲(森すみれ)
(表現セラピスト/VoxMundiSchool認定ヨガ・オブ・ボイスティーチャー)
阪神淡路大震災後のボランティアをきっかけにアートセラピーに取り組み、1997年より子どもや大人の自由創作スペース「ミューズハウス」をスタート。2006年にアーツ・コミュニケーション・ラボを設立。心理学、アーツセラピーに関する研究を続けながら、講座を展開して、アーツセラピーの普及にも力を注ぐ。また、2015年、声を自由にし、声を通して自分の本質へと導くヨガ・オブ・ボイス(アメリカVox Mudi School)の日本人ではじめてティーチャーのサーティフィケートを取得。
現在は、神戸を拠点に講座やワークショップ、オンラインクラスのほか、宿泊型の自然のと触れ合うアートリトリートを開催。シャーマニックな場、要素を大切にして、アーツセラピー 、ヨガ・オブ・ボイスを提供している。
薬剤師としての経歴もあり「Art as Medicine」薬の代替としてのアートこそ、これからの時代は必要だと考えている。
その他、2012年からは毎年、Touch Artsプロジェクトの代表として、ボランティアベースで、「大人も子どもも自由にアートで表現できる場」としてのイベントを開催し続けている。

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